帯状疱疹後遺症、特に帯状疱疹後神経痛(PHN)は、患者さんの生活の質を著しく低下させる慢性的な痛みであり、その診断と治療には専門的なアプローチが求められます。発疹が治まった後も痛みが続く場合、どのように診断され、どのような治療が提供されるのでしょうか。最新の医療では、多角的な視点から痛みの原因を探り、個々の患者さんに合わせた治療計画が立てられます。帯状疱疹後神経痛の診断は、主に患者さんの病歴と症状の訴えに基づきます。帯状疱疹の発症部位に一致する持続的な痛みがあるか、発疹の治癒から3ヶ月以上経過しているか、アロディニア(触れるだけで痛みを感じる)や異痛症(冷たい刺激で痛みを感じる)などの特徴的な症状があるかなどが確認されます。神経学的検査では、感覚異常や運動麻痺の有無が評価されますが、PHNの痛みそのものを客観的に数値化する決定的な診断方法は現在のところありません。そのため、患者さんの訴えを丁寧に聞き取り、痛みの性質や程度を正確に把握することが極めて重要です。治療アプローチとしては、薬物療法が中心となります。PHNの痛みは一般的な鎮痛剤では効果が低いことが多いため、神経の過敏性を鎮める作用のある薬剤が用いられます。具体的には、抗てんかん薬(プレガバリン、ガバペンチンなど)、抗うつ薬(アミトリプチリン、デュロキセチンなど)、そして局所麻酔薬を含む外用薬(リドカインテープなど)が主に処方されます。これらの薬剤は、単独で用いられることもありますが、複数の薬剤を組み合わせて使用することで、より高い鎮痛効果が得られることがあります。痛みの程度や副作用を考慮しながら、患者さん一人ひとりに最適な薬剤と用量が調整されます。薬物療法以外にも、非薬物療法や侵襲的治療が検討されることがあります。非薬物療法としては、経皮的電気神経刺激(TENS)や、温熱療法、マッサージ、リハビリテーションなどがあります。これらは痛みの緩和だけでなく、筋力低下や関節可動域制限を改善し、日常生活動作の向上にも寄与します。侵襲的治療としては、神経ブロック注射が有効な場合があります。