帯状疱疹は、多くの場合、皮膚の発疹と痛みを伴いますが、ウイルスが特定の神経を侵すことで、皮膚症状以外の後遺症を引き起こすことがあります。特に、顔面部に帯状疱疹が発症した場合、視覚や聴覚に深刻な影響を及ぼす合併症のリスクが高まります。これらの感覚器系の後遺症は、患者さんの日常生活に大きな支障をきたし、生活の質を著しく低下させる可能性があります。まず、視覚障害についてです。帯状疱疹が目の周り、特に三叉神経の眼神経領域に発症した場合、「帯状疱疹性眼炎」と呼ばれる合併症を引き起こすことがあります。この場合、目の痛み、充血、視力低下、光過敏、まぶたの腫れなどの症状が現れます。ウイルスが角膜や虹彩、網膜などの眼球組織に炎症を起こすことで、視覚障害が生じます。具体的な後遺症としては、角膜瘢痕(角膜に傷が残り視力が低下する)、緑内障(眼圧が上昇し視野が狭くなる)、白内障(水晶体が濁り視力が低下する)、網膜壊死(網膜が損傷し失明に至る可能性もある)などが挙げられます。これらの合併症は、早期に適切な治療が行われないと、永続的な視力障害や失明につながる危険性があるため、目の周りに帯状疱疹が発症した場合は、速やかに眼科を受診することが極めて重要です。次に、聴覚障害についてです。帯状疱疹ウイルスが顔面神経や内耳神経を侵した場合、「ハント症候群(Ramsay Hunt syndrome)」と呼ばれる合併症を発症することがあります。ハント症候群の主な症状は、耳やその周囲に帯状疱疹の発疹が現れるとともに、顔面麻痺、めまい、耳鳴り、そして難聴です。ウイルスが内耳に炎症を起こすことで、蝸牛神経や前庭神経が損傷を受け、聴覚障害や平衡感覚の異常が生じます。難聴の程度は個人差がありますが、重度の場合には永続的な聴力損失につながることもあります。また、顔面麻痺によって表情が作りにくくなったり、口が閉じにくくなったりするため、摂食や発音にも影響が出ることがあります。めまいも強く、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。これらの視覚・聴覚障害を伴う帯状疱疹の合併症は、通常の帯状疱疹とは異なり、専門的な治療が必要となります。
帯状疱疹後の視覚と聴覚障害!合併症の可能性