交通事故後の後遺症認定プロセスは、単独で完結するものではなく、その後の損害賠償交渉と密接に連携しています。後遺障害等級が認定されて初めて、その等級に基づいた適切な損害賠償額が算出されるため、後遺症認定期間の長期化は、必然的に損害賠償交渉の長期化を招くことになります。この長期化の連鎖を断ち切り、早期解決へと導くためには、認定期間中の適切な行動と、その後の交渉を見据えた戦略的なアプローチが不可欠です。まず、後遺症認定期間を短縮するためには、これまでのコラムで述べてきたように、適切な医療情報の収集、正確な後遺障害診断書の作成、そして必要に応じた専門家(弁護士)の活用が重要です。これらの努力によって、適正な後遺障害等級が迅速に認定されれば、その後の損害賠償交渉へとスムーズに移行できます。しかし、たとえ後遺障害等級が認定されても、そこからが交渉の本番です。保険会社は、認定された等級に基づいて賠償額を提示してきますが、その金額が必ずしも被害者にとって適正とは限りません。特に、逸失利益や慰謝料の算定において、保険会社と被害者の間で意見の相違が生じることがよくあります。この交渉が難航すると、再び長期化の連鎖に陥る可能性があります。交渉の長期化を防ぐためには、まず保険会社の提示額の根拠を正確に理解することが大切です。どのような基準で慰謝料が算出され、逸失利益がどのように計算されているのかを詳細に確認しましょう。もし提示額に疑問がある場合は、その根拠を明確にし、具体的な反論を行う準備が必要です。この際、自身の主張を裏付ける客観的な証拠や資料を提示できるかどうかが、交渉を有利に進める鍵となります。例えば、逸失利益の計算においては、事故前の収入証明や、将来的な昇給の見込みなどを具体的に示すことが有効です。また、慰謝料についても、自身の精神的苦痛の程度や、日常生活への影響などを具体的に伝えることで、増額交渉の余地が生まれることがあります。これらの交渉は、多くの場合、専門的な知識と経験を要するため、ここでも弁護士の存在が非常に重要になります。
後遺症認定期間と損害賠償交渉!長期化の連鎖を断ち切る