帯状疱疹の後遺症というと、多くの方が「帯状疱疹後神経痛」による身体の痛みを想像するかもしれません。しかし、帯状疱疹は神経に影響を及ぼす病気であるため、痛み以外にも、様々な精神神経症状という隠れた後遺症を引き起こすことがあります。これらの症状は、患者さんの精神状態や認知機能に影響を与え、日常生活の質を大きく低下させる可能性があります。帯状疱疹後に見られる精神神経症状の一つとして、うつ病や不安障害が挙げられます。帯状疱疹の痛みは非常に強く、特に慢性的な痛みが続く帯状疱疹後神経痛は、患者さんに大きな精神的ストレスを与えます。痛みが長期化することで、気分の落ち込み、興味の喪失、睡眠障害、食欲不振といったうつ病の症状が現れることがあります。また、痛みがいつまで続くのか、いつ再発するのかといった不安から、不安障害を発症するケースも見られます。これらの精神症状は、身体的な痛みと密接に関連しており、相互に悪影響を及ぼす「悪循環」に陥りやすいのが特徴です。精神的な不調は痛みの感じ方を増強させ、さらに精神状態を悪化させるというサイクルを形成することがあります。次に、帯状疱疹が脳や脊髄などの「中枢神経系」に影響を及ぼすことで、さらに稀ではありますが、より重篤な精神神経症状が出現することもあります。例えば、「帯状疱疹脳炎」や「帯状疱疹髄膜炎」といった合併症は、ウイルスが脳や脊髄に直接感染することで引き起こされます。これらの病態では、意識障害、てんかん発作、頭痛、発熱といった症状が現れることがあります。また、認知機能の低下、記憶障害、集中力の欠如といった症状が後遺症として残ることもあり、患者さんの知的活動や日常生活に深刻な影響を与える可能性があります。特に、高齢者や免疫力が低下している患者さんでは、これらの合併症のリスクが高まります。さらに、帯状疱疹のウイルスが顔面神経を侵した場合に起こるハント症候群では、顔面麻痺だけでなく、めまいや平衡感覚の障害、そしてそれに伴う不安感や外出恐怖症などが精神的な後遺症として現れることがあります。