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帯状疱疹後神経痛とは?症状と発症メカニズム
帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルスによって引き起こされる病気で、体の一部に痛みを伴う発疹が現れるのが特徴です。しかし、発疹が治まった後も痛みが残ることがあり、これを「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼びます。この後遺症は、帯状疱疹の最も一般的で厄介な合併症の一つであり、患者さんの生活の質を著しく低下させることがあります。では、この帯状疱疹後神経痛はどのような症状を呈し、なぜ発症するのでしょうか。帯状疱疹後神経痛の主な症状は、帯状疱疹の発疹が出た部位に持続する痛みです。この痛みは、ピリピリ、チクチク、ズキズキといった神経痛特有の表現で語られることが多く、焼けるような痛みや電気が走るような感覚を訴える方もいます。痛みの程度は非常に個人差が大きく、軽い不快感から、日常生活に支障をきたすほどの激痛まで様々です。また、触れるだけで痛みを感じる「アロディニア」という症状や、冷たい刺激で痛みが増す「異痛症」なども特徴的です。これらの症状は、特に夜間に強くなる傾向があり、睡眠障害を引き起こすことも少なくありません。さらに、痛みによって気分が落ち込んだり、集中力が低下したりするなど、精神的な影響も大きいとされています。帯状疱疹後神経痛が発症するメカニズムは、帯状疱疹ウイルスが神経を損傷することに起因します。水ぼうそうウイルスは、一度感染すると体内の神経節に潜伏し、免疫力が低下した際に再活性化して帯状疱疹を引き起こします。このウイルスが神経を攻撃し、神経細胞や神経線維に炎症や損傷を与えることで、神経が過敏な状態になります。通常、神経は刺激を受けてから脳に痛みの信号を送りますが、損傷した神経は過剰に反応したり、誤った信号を送ったりするようになります。これにより、発疹が治まった後も、本来痛みを感じないような弱い刺激に対しても強い痛みを感じるようになるのです。